2017年02月08日

「真理のひびき」(中村天風)

   2月8日(水)  針供養  はじめに



 宇宙、生命、人間、人生を貫く原理を捉えている人を、世に聖人といい、覚者とよ
ぶ。

 天風せんせいは、正にその原理を把握した人であった。

 先生の教えをうけた弟子達は、先生を哲人と申し上げ、敬仰していた。

 天風哲人は、原理を根本に据え、整斉たる体系をもつ心身統一法を創見された。

 そして人間の正しく活きる道を、具体的に教導すること、半世紀に及んだ。

 原理だけを説くと、現実から遊離する。

 現象だけに生きると、現象に塗(まみ)れる。

 天風哲人は、印度、ヨガの聖地に難行を積み、ついに悟りという至高体験に到達さ
れた稀有の人である。

 哲人は悟りを確信して、生涯を貫き通した信念の人である。

 天風哲人が、価値ある人生構築に必要とする日日の心得について書かれたものを集
録したものが本書である。

 箴言とは、戒めの言葉という意味である。この書には、天風哲人の悟りと哲学が力
強くうち込まれている。

 天風哲学は、人間を価値高く位置づける。それは人は、心を所有するからである。
心は人間と人生を決める重大なはたらきをもつ。

 だが人々は、心の重要性に気づかず、ましてや心のあり方や使い方など考えること
もしない。その結果、貴重な人生を、苦難の人生へと落し込むのである。

 人々がより所としている世間の常識の誤りや甘さを、本書は鋭く衝いている。そし
て人々の人生態度の不徹底さを、驚きをもって気づかせてくれる。

 言葉が乱れ、文が深みを失っている現代、哲人の重厚な言葉を、心して玩味して欲
しい。そして言葉の背後にある深遠な哲理を掴みとってもらいたい。

 現代人は、多くの知識をもちながら、人生に惑う。それは知識(knowledge)のみ
で、叡智(wisdom)に欠けるからである。

 叡智は、宇宙や生命や人生の真実に触れたときに、ひらめき出てくるものである。

 この書は、真実が響き合う叡智の書である。

 心魂を投入して熟読し、これを契機として真人間の境に活きられんことを、心から
熱望するものであります。



   平成八年七月              財団法人天風会会長  杉山彦一
posted by 林田カイロプラクティック院 at 05:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする