2017年03月27日

「真人生の探求」(中村天風)

   3月27日(月)  緒言 幸福な人生



 多くいうまでもなく、人間の真正の価値を正当に認識し得れば、人間の本当の崇高
さがはっきりと分明し来たって、その当然の帰結として、人間を考察する観点も自然
と正鵠を得、人間をもっと尊厳なものと思惟し得るに至るのが必然である。であるか
ら、人間というものを、本当に考えようとするには、何を措いても、人間の真正価値
の認識がその先決問題なのである。ところが、茲に忽せにできない事実は、概ね多く
の人は、案外にも、人間を観察する時、この重要問題を第一としないで、いつも目前
に現在する相対現象を対象として、その考えを進める。ここに、人間自身を考えよう
とする時の大きな錯誤が胚胎する。そうして、その種の人に限って、相対現象で軽率
にも人間の価値を批判しようとする。即ち、誰か何といっても、この不幸福だらけ
な、そして運命だって、健康だって、断然思うように好転しない現在を考えれば、人
間なんて案外つまらない無価値のものだと、平気で結論する。

 然しこれでは、何処まで推究して見ても、人間の真正価値の認識という重大なこと
は正当に解決しない。尤もそうはいうものの、普通の場合、普通の人々が、人間の価
値認識が真正に施せないのは、そこにまた、普通の人の気づいていない一つの原因が
あるからである。

 然らば、一体それはなんであろう?
posted by 林田カイロプラクティック院 at 05:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月26日

「真人生の探求」(中村天風)

   3月26日(日)  緒言 幸福な人生



 こういうと、そりゃ数多くの人々の中には、かなり尊く幸福に恵まれている活きて
いる人もあるだろう、然しそれは極めて少数でしかない。大部分の人間は、決して、
幸福に活きてはいない。やれ病の、やれ不運のと、一日として、心の底から、のどか
な人生などは、夢にも味わい得ず、その上今日のように、物資窮乏の、食糧難の、さ
ては栄養失調のと、極端にいえば、野山に棲む禽獣の方が、遥かに羨ましいとさえ思
われるような憐れ惨憺たる状態で、現実にあるものは苦患の世界のみで、ほんとうに
面白い楽しい人生などというものは、時に味わい得るとしても、それは只瞬間的なも
ので、よしんば相当の位置に到達しても、煎じ詰めれば、人生というものは、結局生
活苦の奴隷という範囲以上のものではない。

 だから、こうした動かすことの出来ない現実というものから結論すれば人間なんて
ものは所詮はつまらぬ下らないものだと思い込んでいる人が、特に今日の世の中に
は、かなり数において多い事と思われる。成程それも、今の世の中の一面から看れ
ば、確かにそうだ! といい得る。特に、現在人生の現象事実のみを、相対考察の対
象として人生を考えれば、そうした断定を人生に与えることが、大きな間違いだと、
真正面から否定することは出来ない。

 然し、厳粛に、真理の上から論断すれば、そうした考え方や思い方は、それは畢
竟、人生に対する観点の置き所ということに、大変な間違いがあるからだといわねば
ならない。もっと詳しくいえば、人間というものを、運命や健康に対しては、力弱い
つまらないもののように考定するのは、要するに、「人間の真正な価値の認識」とい
う重要なものを欠如しているからの結果だといわねばならない。
posted by 林田カイロプラクティック院 at 06:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月24日

「真人生の探求」(中村天風)

   3月24日(金)  緒言 幸福な人生



 また一方働いても稼いでも一向に良い運命の来ない人や、あらゆる手段方法を尽く
しても少しも頼もしい健康を獲得できない人などは、自分という人間を極めて力弱い
もののように考定し、所詮はこうした因果な生まれつきのもののようにさえ思い決め
てはいないであろうか! 

 然し、もしもそうした断定や考え方を、間違いのないもののように思惟していると
したら、人間なんてものは、名目のみ徒に万物の霊長といわれる美名をもつも、内容
は空虚な憐れな存在だということになる。そして、そういう人は、到底生涯を通じて
いわゆるより良い人生などというものは味わい得ず、徒に、運命に対しても、憐れな
虐げられた者でその一生を終わらねばならない。

 そこで先ず真面目に考えたいことは、人間とは果たして多くの人々の考えているよ
うな、つまらない下らないものであろうかということである。
posted by 林田カイロプラクティック院 at 05:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする