2017年05月25日

「真人生の探求」(中村天風)

   5月25日(木)  肉体本位の方法



 第四の消化器の機能増進を本位としたものには、これまたかなり種々の方式があっ
て、出来る限り消化しやすいものを摂取せよという消極的のものと、出来る限り不消
化物を摂取して、消化作用の抵抗力を養成すべしという積極的のものと、更に栄養重
点主義のカロリー本位の食養生を可とするものや、玄米食を常食とする方法或は断食
療法、または完全咀嚼法等、かなり夥しい種類がある。この外、近来は生命と血液と
の重要関係を直接に解決するのに密接な関係のある食餌は、なるべくアルカリ性分の
多い植物性のものを摂取して、血液の酸性化(アジドージス)を防いで、常住肉体内
の血液を純正アルカロージスという状態に保持せよと力説する学者のあることは、正
に喜ぶべき現象である。

 然し、上述の種々の方法は、どれも確かに生命の確保に、それぞれ相当の効果のあ
ることは勿論で、これを実行することは、実行しないよりは、遥かに生命に著効をも
たらすことは、疑いはないが、そうかといって、上述の方法だけを行ったというだけ
では、生命全体の真の強健というものは、断じて、獲得することは不可能なのであ
る。というのは、多言を要せず、上述の方法のすべては、単に生命要素の一方の役割
をもつ肉体のみを本位とした方法であるからである。

 もっと忌憚なくいえば、上の各種の方法を実行することに依って、たしかに肉体の
強さは、相当程度増進せしめ得るに相違ない。然し肉体ばかりいかに強くなっても、
これに併行して、心の強さが増大するのでなくては、生命全体の強さを理想化するこ
とは、到底至難であるといわねばならない。

 その重要な人生問題である心の強さまでが、上に述べた肉体本位の方法だけで作成
されるのなら、何もいうことはないのであるが、事実は往々そうでないという場合の
方が多いのを見逃すことは出来ない。
posted by 林田カイロプラクティック院 at 06:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする