2017年06月11日

「真人生の探求」(中村天風)

   6月11日(日)  入梅  心の生命に及ぼす影響



 諸君は、これまでに、心の生命に及ぼす影響ということを、何かで必ず見聞してお
られることと信ずる。特に肉体に及ぼす心の影響ということは、大抵の人がよく知っ
ていることと思うが、たとえば極度の恐怖感が心に生ずると、忽ちそれが物の声に応
ずる様に、肉体に激甚な衝動を与え、心臓はさながら早鐘を打つような破道を起し、
顔面その他の皮膚は、血の気を失って蒼白となり、ものいう声さえも、呂律の廻らぬ
かのように震え出し、果ては身体を支える力を喪失して、完全に起立していることさ
え出来ぬようになる人さえある。

 しかもこうした現象は、ただ恐怖の感情発作の場合だけでなく、悲しみの感情発作
の時でも、また怒りの感情発作のときでも、更にその他の消極的感情発作の時でも、
その現象に大同小異はあるが、必ず発生する事実現象である。俗に怒髪天を衝くなど
というのも、心の生命に及ぼす影響を端的に表現した言葉であるが、何れにしてもこ
うした事実現象は、何人でも、自分も経験し、また他人の生命でも実見していること
と信じる。

 然し多くの場合、多くの人々はこうした事実現象を目撃しても、極めてありふれた
人生共通のことのように軽く考えて、それ以上にこうした事実現象が肉体の外部にだ
け表現するものでなく、深く肉体生命の内部に浸透して、諸種の悪影響を生命維持の
各機能にまで波及しているという事実を考えていないようである。否、事実この事を
真剣に考えていない証拠には、多くの人の日常を見ると、実に些細のことにも怒り、
僅かなことも悲しみ、大したことでもないのに恐怖するという消極感情を、極めて無
雑作に朝夕発作させているのである。
posted by 林田カイロプラクティック院 at 06:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする