2017年07月17日

「真人生の探求」(中村天風)

   7月17日(月)  海の日  連想暗示法



 然し、ここに注意すべき問題は、在来の方法其の儘では、中々初心の者にはその効
果を思うように挙げ得るまでに相当の修練を要する。そのためにその目的及び理論主
張には相応に立派なものがあるが、何分にも上のような事情のため、その実行応用が
普遍的に徹底されなかったという遺憾な事実があったのである。

 それを私は、だれにも行入極めて容易で、且つ奏効率百パーセントの方法に、特殊
形式を以て組み立てたのであるが、その方法を説く前に、一応在来のこの方法の行修
方式を参考のため略述することにする。

 即ちこの方法は、一日の中で、適当の時を選んで静座瞑目して、たとえ現在の人生
事情がどうあろうと、即ち病が身にあろうと無かろうと、また運命が良かろうと悪か
ろうと、一切それに係わることなく、全然それと正反対の積極的事項を、自ずから意
識的に一心不乱の状態で吾が心に思念瞑想せしめよ、というのがその大要である。

 そしてこうすれば、一体どういう結果が来るかというと、その思念度が強烈であれ
ばある程、言い換えると、その思念の強さの程度に比例して、心はその思念の誘導を
受容し、次第に消極状態を減退して、積極化して来るという、即ち心理現象に対する
推移過程上からの推論を基本として考案されたものなのである。

 勿論これは、何の異論を挿む余地のない、立派な精神強化の自己修行法に相違ない
が、ただ実際問題として考えさせられるのは、何事かの人生事実に直面して、その心
に心配とか、煩悶とか、焦燥とかというような気持の生じている時、落ちついて適当
の時間静座瞑目、思考を渾一状態に凝念するという余裕が、精神的にも、時間的に
も、普通の人には、中々もちにくいことと思う。特に初心傾向の人では、かりにこれ
を試みるとしても、積極的事項の思考を一糸乱さず凝念しようと思えば思うほど、皮
肉にも消極的思考の方が心の中に発生して来て、雑念妄念次々と湧き、この方法の奏
功上一番大切な一心不乱という条件が、消極方面のみに傾注されてしまうという、厄
介な状態に陥るのが共通の事実なのである。
posted by 林田カイロプラクティック院 at 08:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする