そこで一方に於いて積極精神の保成に必要な方法を行うと同時に、またこの神経反
射作用の調節を現実化して、前記の生命の第二次的原動力要素である「生電気体」
の作用を正常に行い得るようにしなければならない。これが即ち斯法組織の理論基盤
なのである。
そこでどうすれば、その目的を達成し得るかというと、結論的にいえば、各種の感
覚や感情の刺激衝動を、心が受けた刹那刹那に、特殊の用意を肉体の各要所に施し
て、先ず体内の枢要部に散在する神経叢の安定を確保し、その動乱を鎮圧防止するの
である。
即ち神経叢の安定を確保し得れば、結局、原因と結果の相関関係で、適当に神経系
統の反射作用を調節し得るに至るからである。
それでは、どんな特殊の用意を肉体の各要所に施すのかというと、分かり易くいえ
ば、感覚や感情の刺激や衝動を受けた刹那、何を措いても、先ず第一に肛門を締める
のである。そして同時に、肩を充分に力を脱いておろし、と同時に下腹部に力を充実
せしめるのである。即ち、尻、肩、腹の三位を一体として、前記のとおり同時に処置
するのである。
一体こういう方法を行うと、どういう理由で、神経叢の動乱を鎮圧し得て、その安
定を確保することが出来るのか、中には、前記の方法形式だけを一読して、その余り
にも簡単らしく感じるという皮相的見解で、或はこの方法の価値に対して、多分の疑
義を持たれる人もあるかと思うが、少しでも生物学的知識なり、または神経系統の生
活機能の研究に造詣を持つ人なら、一見直ちに斯法の組織が、合理的の狙いを持って
いる点に着眼されることと信ずるが、そうでない人々には、方法形式のみでは充分理
解されないと考えるので、今少し詳細に説明を進めることとする。