2017年12月02日

「錬身抄」(中村天風)

   12月2日(土)  美食とその栄養価



 元来、動物の原始欲望とも見るべきものは、性欲と食欲の二つである。而して、性
欲はその種族繁殖の本能から発生したもので、一方の食欲の方は自己の生命確保の本
能から発生せるもので、この二つの欲望はいわゆる代表的欲望なのである。

 ところが、一般動物はいざ知らず、吾等人間の方は、この原始欲望中の食欲に対し
ては、特に著しく進化性を呈しているのである。

 現に人智の発達に伴うて、食餌の種類の如きはどんどんその数を増し、同時にその
品質に於いても相当変化して来ている。特に近代栄養学なるものの進歩と発達は食物
の範囲と種類とを格段に拡大しその上調理の方法に至っては、特別にいろいろと新工
夫を凝らして来たのも事実である。

 であるから、その当然の帰結として、現代人の食餌の大部分のものは、大自然が人
間の生命維持の為に賦与された、いわゆる自然のままのものは極めて少なくその多く
は人工を加えた、極言すれば不自然のものが多いというのもまた事実である。

 美食というものは、概してその含有成分が、ややともすると余りにも一方に偏し過
ぎる傾向が顕著にある。すなわち、蛋白質や脂肪にのみ富み過ぎて、最も肝要な「含
水炭素」を欠乏している。人間の肉体生命が一番多量に要求する成分は「含水炭素」
である。しかもこの「含水炭素」というものは、澱粉及び海藻類=昆布、ヒジキ、わ
かめ、トコロテン等またはコンニャク、その他蔬菜果実に多量に存在して居る。

 食餌は出来得る限り「自然のまま」から遠く離れぬものを摂取するのが最も合理的
なのである。だから、敢て粗食のみする必要はないが、要は普通程度で前述の通り植
物性食餌を本位とするべきである。
posted by 林田カイロプラクティック院 at 05:04| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする