2018年02月04日

「研心抄」(中村天風)

   2月4日(日)  立春(冬の陰気に閉ざされた万物に、春の陽気が立ち始め
るという

               意味で立春という。)

         第一節 「心」とは何ぞや?



 そもそも本能心と称せられる心は、吾人の肉体生命の生存を確保するために存在し
ているものなので、従って人類生命中の動物的方面の生活と生存を現実にするに必要
とする各種の作用や職分を、この心がその本元となって司っているものなのである。

 たとえば食欲とか、性欲とか、その他肉体の欲求から発生する各種の欲望、又は一
切の感覚念等の如きものがそれである。

 が特に注意すべき問題は、一般の動物的感情情念、即ち闘争心、復讐心、憎悪心、
猜疑心乃至は嫉妬心などというような、いわゆる動物本来特有の低級心性も、この本
能心から発露されているということである。

 いずれにしても、結論的にいえば、肉体の内部で行われて居る一切の動物的の作用
及び各種の低級情念というようなものは、皆悉くこの本能心の中に在ると見て差し支
えないのである。

 次は精神生命に属する理性心に就いてであるが、この心はいわゆる事物事象に対す
る推理推考を司る心なので、俗に理性というのは、この心の活動現象に対する名称な
のである。

 それから最後の霊性心であるが、この心は、吾人人類の精神のみに特有された極め
て優秀性を有する最高級のものなので、普通人には容易に発現し得ないといわれる、
この霊感とか霊智とかいうような特殊のものは、何れもこの心から発露する

ものなので、いわゆる神秘的の偉大な思索や、崇高な思想というようなものは、一切
この心を本源として形成されるものなのである。が遺憾ながらいろいろの理屈や議論
をエラソウにいう人は多いけれども、案外その種の人々がこの心の働きや力に対して
は、余りにも知らなさ過ぎる位無理解な人が多い。

 そもそもこの心は吾人人類が万物に霊長である点を現実に具証する心なので、この
心が吾人人類に実在すればこそ、自己とは何かというような他の一切の生物が断然な
し得ない、即ち自我の本質をも悟入自覚する事が出来るのである。

 言い換えれば真我=本当の自己 の何であるかを自覚し、同時にその自覚を正信化
するというような尊厳で高級な心的事実は、この心が人類精神の意識の領域に流れ
入った刹那に生ずるエクスタシー・フエノメノンなのである。

 こういうわけで、率直にいえば、よくこの心を発動し得ない人は、どんなに学識が
あり又経験があろうとも、以て直ちに真人とはいわれないのである。

 いずれにしても吾人人類の心には、凡そ叙上のような種類と階級差別とが存在して
いるのである。
posted by 林田カイロプラクティック院 at 07:28| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月02日

「研心抄」(中村天風)

   2月2日(金)  第一節 「心」とは何ぞや?



 それ故に、特に理智階級者は、何よりも現実に人生に必要とされるこの事柄を、正
当に理解するという事を先決にしないと、かえってその理智のために徒に人生を誤
り、或は不幸に陥る場合を縷々招来するべく余儀なくされる事は寧ろ必然だといわね
ばならない。

 川柳にも「あの人は物識りだけに不幸せ」というのがあるが、けだし味わうべきも
のが多分にある。

 さてそこで然らば心というものににはどんな区別が存在しているかというと、心に
はその性状と活動の状態から大別すると、下の二つのものがある。

 即ち

   肉体生命に属する心

     と

   精神生命に属する心

 そして、肉体生命に属する心の方は、更にこれを細分すると、その内容に「物質
心」「植物心」「本能心」という三つのものが存在する。

 又一方精神生命に属する心には、「理性心」「霊性心」という二つのものが、その
内容をなしている。

 それ故に、複雑な各種の心理現象というものも、これに集約すれば、前記の心の何
れかを根本としてそれが意識領域に発動した場合の現象をいうのである。

 そして肉体生命に属する心の中で、前述の「物質心」と「植物心」は、普通の場合
他の心のように単独に意識領域の表面に現出活動しない特殊の心なのである。正確に
言えばこれらの心は肉体生命の内部で、その肉体生命営為のために必要とする方便を
行っているものなので、従っていわゆる一般にいうところの心理現象なるものを直接
的に作為する性質のものでなく、常に本能心と結合して作用するものである。この故
にこれらの心に関する説明は、特に必要の場合にこれを要約的に記述する事とし、先
ず順序として理解を必要とする本能心というものについて説明する事とする。
posted by 林田カイロプラクティック院 at 05:36| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする