2018年05月14日

「研心抄」(中村天風)

   5月14日(月)  第四章 認識力とその養成に就いて

        第一節 官能の啓発



 この章に於いては更に人間の精神機能の中に存在する認識力とその養成という事を
説述し、諸君の心的修練に資供することとする。

 そこで先ず順序として知得すべき事は、認識力の養成という事と自己統御という事
とは、一体どんな関係があるかということである。これを簡単に説明すれば、認識力
を適当に涵養しないと、心の固有する知覚作用が正確を失い、その当然の帰結として
正しい自覚とか、或は悟りとか又は第六感というような、いわゆる高級意識に属する
精神作用が低調になり、延いては完全な自己統御ということが充分よく行えなくなる
という、人生に対する重大な事実と理由とが生ずるからである。

 ところが実際に則して現代人を見るに、案外にもこの重大な人生消息を余りに軽く
視ているという事実傾向が多分にある。その証拠には認識力の養成という事を往々等
閑に付して、只徒に智識の詰め込みにのみ熱中している。そしてその結果智識は割合
に含蓄されているにも拘わらず、諸事万事に対して認識の不全や不足を敢てなし、し
ばしば失策や失敗をせずともよいのに招来して物好きにも人生苦をこうむって悩んで
いる。然しこのような事態では、如何に学問を研究し智識の分量を増大しても、所詮
は学べばいよいよ苦しみ、究ればますます迷うという現象の方が多分に発生し、本当
の人生幸福というものを味得することは出来ない。

 こういう事実から考量しても、認識力の涵養ということは、ひろき意味に於いて忽
緒に付し得ない重要な人生事業の一つだと言い得る。それではこの重要な認識力の正
当な養成は、一体どうすれば最も正確にその目的を達し得るかというに、

 第一に「官能の啓発」

 第二に「精神内容の浄化と整理」

という二要項を正当に解決することである。
posted by 林田カイロプラクティック院 at 05:08| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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