2017年09月16日

「真人生の探求」(中村天風)

   9月16日(土)  神経反射作用の調節法



 先ずその順序として、神経叢というものから説明する。

 神経叢とは、分かり易くいうと、生命維持に必要とする活力の貯蔵処なのである。そして、この神経叢は、体内枢要部の各所に相当夥しく散在している。俗に急処と称する部処は、おおむねこの神経叢の在る処だと思って差し支えない。そして、この神経叢の中で一番密集度を高度に保有している処は、心窩、俗にいう(みぞおち)で、解剖学的にいえば、横隔膜神経叢の在る処である。だから、この心窩部には、また一番多量に活力が保留されているのである。

 現に古来から武術の方では、この部処を急所中の急所(水月)と称し、この部処に強打を受けて気を失った際には、施すべき方法がないとさえいう位である。

 由来活力というものは、これを精神科学的にいえば、先ず脳髄府中の松果系、一名是を、脳砂ともいうが、これに受容せられ、そして更に脳髄機構を経て、横隔膜のある即ち心窩部内の最大な神経叢に送られ、一旦これに保留された後、全身の必要に応じて各細胞に分配頒布するため、各要所に散在する各神経叢に送致されるということになっている。

 ところが感覚や感情の刺激衝動を受けると、その程度に応じて生命エネルギーは、必然的に相当の損失を受ける。そこでその場合この最大な心窩部内の神経叢内から、その保留した

活力を急激に異常放出をする。そし生命の被る損失を補填するのである。が放出すると同時に放出した分量だけ、また直ちにそれを自然が補充してくれれば、別に何の問題もないのだが、そうは行かないのである。即ち活力というものは、失う時は刹那的で時として無限であり、受け入れるのには時間的で有限なのである。
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2017年09月15日

「真人生の探求」(中村天風)

   9月15日(金)  神経反射作用の調節法



 そこで一方に於いて積極精神の保成に必要な方法を行うと同時に、またこの神経反
射作用の調節を現実化して、前記の生命の第二次的原動力要素である「生電気体」 
の作用を正常に行い得るようにしなければならない。これが即ち斯法組織の理論基盤
なのである。

 そこでどうすれば、その目的を達成し得るかというと、結論的にいえば、各種の感
覚や感情の刺激衝動を、心が受けた刹那刹那に、特殊の用意を肉体の各要所に施し
て、先ず体内の枢要部に散在する神経叢の安定を確保し、その動乱を鎮圧防止するの
である。

 即ち神経叢の安定を確保し得れば、結局、原因と結果の相関関係で、適当に神経系
統の反射作用を調節し得るに至るからである。

 それでは、どんな特殊の用意を肉体の各要所に施すのかというと、分かり易くいえ
ば、感覚や感情の刺激や衝動を受けた刹那、何を措いても、先ず第一に肛門を締める
のである。そして同時に、肩を充分に力を脱いておろし、と同時に下腹部に力を充実
せしめるのである。即ち、尻、肩、腹の三位を一体として、前記のとおり同時に処置
するのである。

 一体こういう方法を行うと、どういう理由で、神経叢の動乱を鎮圧し得て、その安
定を確保することが出来るのか、中には、前記の方法形式だけを一読して、その余り
にも簡単らしく感じるという皮相的見解で、或はこの方法の価値に対して、多分の疑
義を持たれる人もあるかと思うが、少しでも生物学的知識なり、または神経系統の生
活機能の研究に造詣を持つ人なら、一見直ちに斯法の組織が、合理的の狙いを持って
いる点に着眼されることと信ずるが、そうでない人々には、方法形式のみでは充分理
解されないと考えるので、今少し詳細に説明を進めることとする。
posted by 林田カイロプラクティック院 at 05:43| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月14日

「真人生の探求」(中村天風)

   9月14日(木)  神経反射作用の調節法



 第一になぜ精神感応性能を積極化するのに、神経反射作用の調節を必要とするかと
いう理由を説くこととする。

 それは、要約すれば、吾人の生命確保の中枢を為す神経系統は、極めて高度の反射
作用を有するもので、特に精神生命の積極化を望む者が、是非知得して置かねばなら
ない重要なことは、生命に存在する各種の感覚や感情の刺激衝動というものは、細大
漏らさずそれを一々中枢神経を通じて脳髄府へ伝達されるように、自然に仕組まれて
いるということである。

 そして特に注意すべきことは、特に平素、消極的精神生活を営んでいる人の、神経
系統の反射作用というものは、その消極的心理状態のため、俗にいう神経過敏という
状態になっているために、往々正規を逸した異常な高度のものになっている。そのた
め僅かな感覚刺激でも、また感情衝動でも、殊にそれが消極的のものだと、より一層
大袈裟にそれを脳髄府に伝達する。

 これは、要するに、精神科学的に論ずれば、生命の第一次的原動力要素をなす「生
電気体」 の作用に変調を来たし、その結果動物性神経と植物性神経の、相互昂奮を
調節する固有作用が、完全に活動することができなくなり、そのため両神経機能の平
衡を正当に保つことが出来なくなったということに帰因するのである。

 然し、だからといって、それを其の儘に放任して置くと、結局精神生命の安定を攪
乱し、延いて生命維持の上にも危険な消長関係を及ぼすという、怖るべき影響を招来
するに至るのである。
posted by 林田カイロプラクティック院 at 05:15| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする