さて前項に於いて人間というものは、この世に苦しみに来たのでもなければ、また
悩みに来たのでもない。そうかといって贅沢や栄華をするために来たのでもない。否
もっと遥かに崇高な使命をもって生まれ出たものであるといった。
即ち、人間は、恒に宇宙原則に即応して、この世の中の進歩と向上とを現実化する
という、厳粛な使命を以てこの世に生まれて来たものなので、我等人類に、万物の霊
長という最高の資格を与えられているのも、またこのためであって、更にまたその尊
い使命の遂行を完全にするために、その生命の内奥に、潜勢力という偉大な力が、何
人にも公平に賦与されているのであるといった。
誠に、真理は久遠の古より、永劫の将来まで、昭として一貫耽存する。
だからかりにも、お互いが人間としての生きがいのある人生に活きようとするに
は、終始この使命の遂行ということを、自己人生の生活目標としなければならない。
そこで、厳粛に真理の上に立脚して論断すれば、吾人が人生に活きる際、この生活
目標を厳格に日々の生活の上に置いて、専念これに順応する実際生活を実行して人生
に活きる人には、何もこれという特別の方法や手段を行わなくても、生命内奥の潜勢
力というものは、期せずして発現して来るのが、これまた動かすことの出来ない宇宙
真理なのである。