先ず、なぜ感応性能を積極化するのに、積極観念の集中力を養成せねばならないか
というと、平素どれほど前述の方法だけを実行しても、一方この積極観念の集中力を
養成することを実行しないと、何分にも長い間悪いと知らずに、消極的観念生活を無
意識的に行っていたという様な人や、神経過敏の気の弱い人などは、折角熱心に自己
暗示誘導法を行って精神生命の強化を計画しながらも、日常の人生に処する際、いつ
しか知らぬ間に心を消極的方面に傾注するという怖れがあるためである。そして、そ
のため折角熱心に努力して実行している自己暗示誘導法の奏効率を阻止することにな
るからである。
これに反して、この方法を常に行うように心がけると、いつでも積極的観念を集中出
来得るように習慣づけられるので、いざという時、何事に対しても、それを積極的に
心で取扱い、うまい捌きをつけられるようになる。
それでは、その要諦はといえば、先ず第一に必要な心得は、常住自己の心を人生の
明るい方面にだけ向ける努力をすることである。
もっと分かり易くいえば、たとえ、その事の結果が当然暗くなるであろうことが
分かっている場合でも、心は絶対に明るく保持する事に努力するのである。