およそ人間の心の奥には、幽玄微妙はたまた端倪し能わざる一大心界あり。
しかもこの心界は、宇宙創造の力と通じ、常に自己を援け、自己を擁護する責務を
行う。
さるにても無明なるかな、人々の多くはこの崇高なる心界が、わが命の中に在りと
しも気づかず、徒に心の一部に存在する低劣なる心意にのみ、あたら貴重なる人生を
委ぬるがために、心ならずも価値なき苦しみと悶えとを招く。
須らく問えよ、また訊ねよ、一切を魂の囁きに。
そもやわれとは心にもあらず、肉身にもあらず、唯一にして絶対なる霊魂なり。
心といい、肉身というも、そは所詮わが本体たる霊魂の要具に過ぎざれば、徒に益
なき煩悩に執着して、低劣なる心を夢にも躍らすこと勿れ。
無礙にして始めて自在なることを得ん。
されば常に心境止水、わが本性の固有する霊性発揮に努めなば、堅く閉ざされし霊
門の扉はやがて内より静かに開かれ来たり、いみじくもわが意識の心耳に、妙なる魂
の囁きを尊くもまた聴くを得ん。