皮膚生活と空気
出来るだけ、自然に、背反せぬような心がけを、衣服に対する基本観念として衣服
を着けることである。 しかして、これを具体化するには、
一、常住、決して過度に厚着をなさぬようにすること。
二、余りに皮膚に密着するもの又、圧迫の強い衣服を出来るだけ避けること。
という二つの事項を注意深く実行することである。
我々の皮膚は肺臓と同様に、やはり呼吸作用を行うて体内の酸化物を排泄すると同
時に又、空気中の酸素を吸入しているのである。尤もその比例率は、肺臓の呼吸量に
対して、百五十分の一という少量であるが、然し少量と雖も、生命維持に必要あれば
こその作用であるから、この皮膚呼吸を不完全に陥れると、その結果は、肺臓の呼吸
を妨げるのと同様のこととなり、肉体健康の上に当然障害を招来することとなる。
であるから、1日の内、30分〜1時間ぐらいは、全裸若しくは半裸で、皮膚を
空気に当てるようにすべきである。
理想から言えば、病弱者や老人は別として、中等度以上の健康者は、特に少年や青
年は外出の時と雖も、襟巻やショウル等を用いぬ方が、健康上よいのである。
特に、マスクや腹巻などというものは、真健康を確立せんと欲する者は、寧ろ絶対
に不必要なものとして採用しない方が、最も合理的なのである。というのは、こうい
うものを用いる習慣をつけると、ますます肉体の生活力や抵抗力を弱くするとも、決
して強くしないからである。