一体、人間には食物に対する好き嫌いが特に肉体の弱い人には多い。これは一体ど
ういう訳かというと理論考証から論ずるとかなり複雑な理由があるのであるが結論的
に言えば、人間はその人の肉体に欠乏している成分を含有する食餌を嗜好し、十分豊
富に存在する成分をもつものは肉体の自然的要求がないために、これを嗜好しないと
いうのが最も妥当な見解である。
如何に滋養食品と雖も嗜好せぬものは食せぬが無事である。であるから、病弱者は
でき得る限り嫌いなものは食せず、嗜好するものを食するのが良い。
が然し、だからといって、茲に注意すべきは、嗜好物なりというても、動物性のも
のや、アルコール類及び糖分を過量に摂取するということは、血液を酸性化して健康
破壊の原因を作成するという即ち、天理に背反せる行為とて断然排斥すべきである。