そこでなお一層この意識観念の確立を現実に助成する手っ取り早い方法として、次
の事の実行をお薦めする。即ち一日の中で適当な時を選んで、瞑目一番心を鎮めるい
わゆる鎮心行というものを行うのである。勿論その体勢は静座でも、椅子に腰かけて
も、又仰臥してでもよい、すると人に依って早い遅いの相違はあるが、やがて暫時に
して心の複雑な活動が止む時が来る、その時である。心の活動が止んでもそこに一つ
厳として自己存在の意識だけが残留して居る事を自覚されるに違いない。判り易くい
えば「われ在り」という意識だけは絶対に消滅しない。そしてこの意識を例えおぼろ
げにでも自覚し得れば、自己(真我)というものは、心よりも又肉体よりも超越して
居る一実在であるという意識観念が自然と確立され、諸君は悟入自覚という精神的進
歩の第一階級にその第一歩を踏み入れたこととなる。そしてこの意識観念確立の程度
に伴って益々自己(真我)の正確な自覚感に鮮明の度を加えて来る事になる。