さていよいよ積極精神作成の実際方法を説述することとするが、それに先立ちくれ
ぐれも注意すべきことは、こうした教義というものは、ただそれを理論的に理解した
というだけでは、到底その実際効果というものを如実に体得することは出来ないのは
いうまでもないところで、要はその理解をひたすらに実践に移して、営々躬行に専念
する以外にないのであるから、何を措いても理解したことを直ちに実行することであ
る。
そして、一旦実行に取りかかったら、決して中途で怠ったり、または中止するよう
なこと無く厳格に自分自らに堅く誓って、努力の精進を不断に継続されたいのであ
る。
殊に文字を通じての理解や会得には、ややもすると批判的気分が多分に発動する傾
向があるので、そのため折角の理解や会得を行おうとしても、とかく真剣の気込みを
欠く怖れがあるので、一層の自己戒心を必要とする。
特に、私の創意したこの教義は、どんなに繁忙の人でも、行う意志さえあれば、日
常生活裡に特別の時間をこれに充当する必要がなく、だれにでも容易に実行し得る特
殊組織の下に組み立ててあるので、即ち、入るに極めて容易であるために、多分の努
力を要しない結果、かえってその価値認識を誤る人があるので、切にこの点を注意し
てほしいのである。
尤も、これまで真剣に人生を考えた人ならば、難解の人生哲学や、これに付随する
釈明を極めて平易に、然も科学的に何人にも分かり易く演釈することの頗る至難であ
ることを充分了知されているので、敢て特別の注意を必要としないが、そうでない人
のためには繰り返し婆言を呈する必要があると考え、特にこの注意を付加した次第で
ある。